単語の誤用への対処法

Aさんが大きな声で笑っている場面を思い浮かべてほしい。その場面を説明するとき、どのような表現をするべきだろうか。「Aさんは爆笑している」これは一昔前まで誤用であった。正しくは「Aさんは大笑いをしている」である。なぜなら、かつての爆笑の意味は、「大勢の人が笑っている様子」のみを指していたからだ。しかし、あまりにも誤用が多すぎて辞書に新たな意味が加わったのである。また、「役不足」のように、本来の意味とは反対のものとして使われる言葉もある。

このような誤用に対して、どのような対応をすれば良いのだろうか。

例えば、そもそも言葉に正解なんてものはないのだから、放っておくべきだという声がある。確かに方言によって指す事柄が違う言葉がある。

これに対し、辞書などを権威あるものとして、すべての誤用は正すべきだとする声もある。それによってどんな地域の人とも勘違いをせずにスムーズに話すことができる。

しかし、この両方の間が正しいものだろう。後者のように辞書に書かれているものを絶対とするのはほとんど不可能で、人は話したいように話すからだ。かといって前者のように放っておくと認識の違いが問題になってしまう。

だから、話しているときに何か怪しいところがあれば、その言葉の定義を確認する程度でよいと思う。会話に齟齬があっては困るが、言葉が人を縛るべきではないだろう。