科学と宗教は似ている

科学は、神からの開放として発展してきた歴史もある。しかし、科学と宗教には多くの共通点がある。

1つ目は、「信じてしまうと悲惨な事態になることがある」、という点である。宗教は真実とは別のことを信じてしまい、はたから見ると悲惨な場合がある。一方の科学では、批判の目を常にもっているから大丈夫だと思い込みがちである。しかし、常に批判的な人は少数に過ぎず、安全だと思われていた技術に頼って事故が起きたり、ありもしない技術を長く夢見ることもある。

2つ目は、「信じるしかないことがある」、という点である。宗教においては聖典などにおいて書かれていることは証明しづらいため、信じるしかない。一方の科学でも、証明されているように見えて、できていないときがある。ほとんどの論文には他の論文からの引用があるが、その論文が必ず事実であるという保証はない。その意味で科学でもそれを信じるしかない場合もあるのだ。

3つ目は「批判的な目線が要求される」という点だ。科学では当然、常識を疑う目線が重要視される。それが覆れば、革命的なことが起き、真実に近づける。一方、宗教でも批判的な目を持つように求められるのである。聖典などにおいて、「この一説がどういう意味か吟味しなさい」とか、「神を感じるためには、よく考える必要がある」などと言われることはよくある。また、聖典などの解釈における論争はいまだに絶えない。この批判的な姿勢は科学と似ている。

このような点で、宗教と科学は人々の心に似たような形で深く根付いている。